この前、市の検診でレントゲン撮ったばかりなんだけど…
さっき他の病院で撮ったばかりだよ…。
どのくらいなら撮っても大丈夫なの?
レントゲン検査は放射線を使用している検査なので、検査をたくさん行って被ばくしすぎるとがんになってしまうのではないかと心配になってしまう方もいると思います。
ここでは、臨床経験10年の放射線技師の私が被ばくについてよく聞かれる質問をわかりやすいように解説していきたいと思います。
病院では図なども示すことができず、丁寧で分かりやすい説明ができないのでぜひ学んでいってください。
服装などで何回も再撮影されたくない方はコチラ
レントゲンは何回までなら大丈夫?
レントゲンは非常に弱いX線を用いた検査です。基本的に病院で撮影される枚数であれば、がんなどのような体に影響が出るようなことはありません。
病院で行われているレントゲン検査は医師が必要と判断されたときに検査オーダーが出され放射線技師が撮影を行っています。
症状や期間などから必要だと判断されたときに検査は出されていますし、放射線技師が検査機器を操作し必要なエネルギーの放射線しか出せないように調整されていますので過剰な被ばくになることは基本的にあり得ません。
検査をして被ばくをしてしまうデメリットより、検査をすることで得られる情報などのメリットが多いようになっていますので検査を受けた方が不利益を受けるようなことはないのです。
被ばくしても影響が出ないのはどのくらい?
被ばくして影響が出始めるのではないかと言われている数値は一度に1,000mSv程度です。胎児などは妊娠週によりますが、100mSv程度と言われています。
Sv(シーベルト)という単位を始めて聞いた方もいるかと思いますが、放射線が人体に当たった時にどのくらいの影響があるのかを評価するための単位です。つまり、数値が大きいほど健康影響が大きいのです。
放射線は身の回りにあふれていて、自然放射線と呼ばれています。自然放射線について表でまとめます。
自然放射線の種類 | 被ばく線量の目安(mSv) |
---|---|
日本平均の年間被ばく自然放射線量 | 2.1 |
食物から(カリウム40など) | 0.99 |
空気中から(ラドンなどの吸引) | 0.47 |
大地などの鉱物から | 0.33 |
宇宙線などから | 0.31 |
東京~ニューヨーク往復 | 0.1 |
これは宇宙から降り注ぐ宇宙線や大地の鉱物の放射性同位元素からの放射線、食品のカリウム40などから出る放射線からごく微量ながら放出されている放射線全般を指します。放射線を使った検査と言われると身構えてしまう方もいるかもしれませんが、ごく微量ながら常に被ばくしているのです。実際に日本で暮らしているだけで年間約2.1mSvの被ばくをしているといわれています。さらに東京からニューヨークまで飛行機で移動すると0.1mSvの被ばくをするといわれています。
意外にも何もしていなくても被ばくしていたことに驚いたのではないでしょうか?このように放射線は以外にも身近にあふれているので怖さを理解したうえでうまく活用していくことが大切なのです。
実際の検査などの被ばく量はどのくらい?
自然放射線について解説しましたが、実際に行われいている検査での被ばくはどのくらいなのでしょうか。
以下の表にまとめます。
検査の種類 | 線量の目安(mSv) |
---|---|
レントゲン検査(胸部) | 0.06 |
マンモグラフィー | 2.4 |
歯科撮影(口内法X線撮影) | 0.002~0.01 |
X線CT検査(成人頭部単純ルーチン) | 5~30 |
核医学検査(RI検査) | 0.5~15 |
PET検査 | 2~20 |
上の表より、レントゲン検査の線量は0.06mSvです。影響が出始めるといわれている1,000mSvに達するまでは1.6万回撮影をしなければならないことが分かります。急性期の現場でも胸部レントゲン検査は1日に2~3回程度、整形で様々な部位を撮影しても10枚程度くらいかなと思うのでどれだけ検査数を増やしたところでレントゲン検査で1,000mSvに達することはないといえます。
今回は環境省のHPの値を参考にして解説をしていきましたが、検査を受ける施設のX線の検出器(フィルムなど)やデジタル処理の性能によって被ばく量は変わってきます。放射線科が使用する検査機器はどれも被ばくを減らしつつ高品質な画質を確保することに各メーカーが日々しのぎを削っている領域で進歩目まぐるしいです。かなり専門的な話になってくるとは思いますが、検査を受ける施設の設備について調べてみても面白いと思いますよ。
まとめ
放射線を使用する検査において、被ばくはほとんど影響が出ない量と言われています。被ばくするデメリットを情報が得られるメリットの方が多いと判断されたときに検査がオーダーされています。
安心して検査を行けていただいて大丈夫ですが、それでも心配であるならば主治医か撮影担当の放射線技師に気軽に相談してみてください。
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